2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

くたに

散りぬれば後はあくたになる花を思ひ知らずもまどふてふかな 僧正遍照(古今集 巻10(物名) 435)散ってしまえばその後はごみになってしまう、「くたに」※の花。そうと理解せず、①飛び回る蝶の姿よ。 ②花に夢中になるということだ。 ※「くたに」は、植物の…

色なしと人や見るらん

色なしと人や見るらん昔よりふかき心にそめてしものを 藤原国経(古今集 巻17 869)この綾絹をあなたは色がないと見ているでしょうか。 昔からあなたを深く思っていたのですよ。

人は古りにし

物皆は新しき良しただしくも人は古りにし宜しかるべし 詠み人知らず(万葉集 巻10 1885)(一般に)物は皆、新しいのが良い。 ただし、人間は年をとって古くなった方がよいのだろう。

千代ともなげく人の子

世の中にさらぬ別れのなくもがな千代ともなげく人の子のため 業平朝臣(古今集 巻17(雑上) 901) この世の中に避けられない別れというものがなければよいのになあ。母に、千年でも生きて欲しい、と哀願する、人の子のために。 http://d.hatena.ne.jp/sea_o…

いよいよ見まくほしき君

老いぬればさらぬ別れもありといへばいよいよ見まくほしき君かな 伊登内親王(古今集 巻17(雑上) 900) もう年老いてしまったので避けられない別れも来ようかと思うと、いっそうあなたに会いたい気持ちが募ります。明日、返歌。→http://d.hatena.ne.jp/sea…

しづ心なく花の散るらん

久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらん 紀友則(古今集 巻2(春下) 84)日の光が長閑にさしている春の日に、落ち着きがないので桜は散り急ぐのだろう。 性格・適性診断テストなどで、|以下の問いについて、最も自分の考えに近いものにマークせよ…

紅と橡

紅は うつろふものそ橡の なれにし衣に なほ及かめやも 大伴家持(万葉集 巻18 4109) 紅の花の染め物というのは、綺麗でも色褪せやすいもの。橡で染めた・着馴れた衣の方が、やはりいいものよ。 浮気相手の女を紅(くれない)で染めた衣服に、都の妻を橡(…

幸くあれ

父母が頭掻き撫で幸くあれて言ひし言葉ぜ忘れかねつる 丈部稲麻呂(万葉集 巻20 4346) 別れ際に、父と母とが私の頭を撫で回して、「達者で」と仰った、 その言葉が今も忘れられないのです。 「幸くあれ」の読み。「さきくあれ」だと思っていたのだが、この…

三輪山

三輪山をしかも隠すか雲だにも心あらなも隠さふべしや 額田王(万葉集 巻1 18) 三輪山をそのようにも隠してしまうのですか。せめて雲にだけでも思いやる心があってほしい。雲が隠してよいものか。 667年、近江への遷都。常日頃共に暮らし、敬ってきた山…

有間皇子

磐代の浜松が枝を引き結び真幸くあらばまた遷り見む 家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る 有間皇子(万葉集 巻2 141・142) 磐代の浜の松の枝を引き結び、無事を祈る。もし願いが通じ無事であったならば、また此処に戻りこの松を見よう。 家…

石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも 志貴皇子(万葉集 巻8 1418)岩を叩いて流れ落ちる滝のほとりにある早蕨が、 芽吹き始める春になったんだなあ。 長い冬が終わり、春の足音を見つけた喜びが表現されている。

狭野のわたりに

苦しくも降りくる雨か三輪の崎狭野のわたりに家もあらなくに 長忌寸奥麿(万葉集 巻3 267) 困ったことに、雨が降ってくることだよ。三輪の崎の狭野の渡し場には、雨宿りしようとも家1軒もないのに。 小・中学校に通っていた時分の教科書等を処分しようと思…

さらさらに

多摩川にさらす手作りさらさらになにぞこの児のここだかなしき 東歌(万葉集 巻14 3373) 多摩川にさらさら さらす手織りの麻布ではないが、今さらながらどうしてこの娘はこんなに可愛いのだろう。 副詞「さらさら」には、改めて、ますます・いっそう等の意…

香をだにぬすめ

花の色は霞にこめて見せずとも香をだにぬすめ春の山風 良岑宗貞(僧正遍照)(古今集 巻2(春下) 91) 花の色は霞に包み隠されて、その色を見せてはくれない。 ならばせめて香りだけは盗って来い、春の山風よ。 訳しにくいが、こんなところだろうか。

あすか川

世の中は何か常なるあすか川昨日の淵ぞ今日は瀬になる 詠み人知らず(古今集 巻18(雑歌下) 933) この世に何一つとして変わってゆかないものはない。 昨日まで深い淵であったところが、今日には浅い瀬に変わる、あすか川のようなものである。 (瀬が淵にな…