万年筆

僕がまだ小学生だった頃に

貰ったご褒美の万年筆

緑のボディーに金色の切っ先は

御日様の光に輝いて見えた

 

僕が中学にあがったばかりの頃に

箱から取り出した万年筆

震える手で滑らせた紙の上

僕の名前は這いつくばってた

 

僕もいつの間大人になって

すっかり手に馴染んだ万年筆

後生大事に使っていたのに

ある日筆箱からいなくなってた

 

君の仕事道具は文房具だから

愛着を持てと教えられたのに

失くしたあの万年筆は

今頃どこでどうしているだろう

 

きっと僕には持つ資格がないと

疾うにあいつは見抜いていたんだ

だから僕は今日もちびた鉛筆を

握りしめては時々思う