古今集

見る影さへにくれぬ

ゆく年の惜しくもあるかなます鏡 見る影さへにくれぬと思へば 紀貫之(古今集 巻6 342) 往く年が惜しく思えます。 年のみならず、澄んだ鏡の中の私の姿もまた、暮れて(、暗くなって→年老いて)しまったような気がして。 暮れる ├get dark 暗くなる └come t…

夏と秋と

夏と秋とゆきかふ空の通ひ路はかたへ涼しき風や吹くらむ 凡河内躬恒(古今集 巻3 168)去る夏と来る秋とが行きちがう空の通路では、秋が来る片方の通路にだけ涼しい風が吹いているのだろうか。 気象庁によると、「日本の年平均気温は、長期的には100年あたり約1…

梅の花

春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる 凡河内躬恒(古今集 巻1(春上) 41) 春の夜の闇は、何を隠そうとしているのだか、わけがわからない。 梅の花は、その色こそ見えないけれども、その香は隠れたりするものか。

人にしられぬ花

三輪山をしかもかくすか春霞人にしられぬ花やさくらむ 紀貫之(古今集 巻2(春下) 94) 三輪山を、そのようにも隠すのか、春霞よ。人に知られぬ花が咲いているのだろうか。 人が全てを知っている世界というのは、きっとつまらないものではないかと思う。知…

くたに

散りぬれば後はあくたになる花を思ひ知らずもまどふてふかな 僧正遍照(古今集 巻10(物名) 435)散ってしまえばその後はごみになってしまう、「くたに」※の花。そうと理解せず、①飛び回る蝶の姿よ。 ②花に夢中になるということだ。 ※「くたに」は、植物の…

色なしと人や見るらん

色なしと人や見るらん昔よりふかき心にそめてしものを 藤原国経(古今集 巻17 869)この綾絹をあなたは色がないと見ているでしょうか。 昔からあなたを深く思っていたのですよ。

千代ともなげく人の子

世の中にさらぬ別れのなくもがな千代ともなげく人の子のため 業平朝臣(古今集 巻17(雑上) 901) この世の中に避けられない別れというものがなければよいのになあ。母に、千年でも生きて欲しい、と哀願する、人の子のために。 http://d.hatena.ne.jp/sea_o…

いよいよ見まくほしき君

老いぬればさらぬ別れもありといへばいよいよ見まくほしき君かな 伊登内親王(古今集 巻17(雑上) 900) もう年老いてしまったので避けられない別れも来ようかと思うと、いっそうあなたに会いたい気持ちが募ります。明日、返歌。→http://d.hatena.ne.jp/sea…

しづ心なく花の散るらん

久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらん 紀友則(古今集 巻2(春下) 84)日の光が長閑にさしている春の日に、落ち着きがないので桜は散り急ぐのだろう。 性格・適性診断テストなどで、|以下の問いについて、最も自分の考えに近いものにマークせよ…

香をだにぬすめ

花の色は霞にこめて見せずとも香をだにぬすめ春の山風 良岑宗貞(僧正遍照)(古今集 巻2(春下) 91) 花の色は霞に包み隠されて、その色を見せてはくれない。 ならばせめて香りだけは盗って来い、春の山風よ。 訳しにくいが、こんなところだろうか。

あすか川

世の中は何か常なるあすか川昨日の淵ぞ今日は瀬になる 詠み人知らず(古今集 巻18(雑歌下) 933) この世に何一つとして変わってゆかないものはない。 昨日まで深い淵であったところが、今日には浅い瀬に変わる、あすか川のようなものである。 (瀬が淵にな…

山+風=

季節はずれではあるが。 吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風をあらしといふらむ 文屋康秀(古今集 巻5(秋下) 249) 吹くや否や秋の草木が萎れてしまう、なるほどそれで山風を「あらし」というのだろう。 百人一首の中で最初に覚えた歌だったと思う。…