紅と橡

紅は うつろふものそ

橡の なれにし衣に なほ及かめやも

          大伴家持万葉集 巻18 4109)


紅の花の染め物というのは、綺麗でも色褪せやすいもの。

橡で染めた・着馴れた衣の方が、やはりいいものよ。




浮気相手の女を紅(くれない)で染めた衣服に、

都の妻を橡(つるばみ:団栗)で染めた衣服に譬えて、

部下の浮気な恋を窘める歌だったかと思う。


見事な比喩。