2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧
防人に行くは誰が背と問ふ人を見るがともしさ物思ひもせず 防人の妻(万葉集 巻20 4425) 今年防人に行くのはどこの旦那かと尋ねる人を見る、この妬ましさよ。 夫をとられる私のように思い煩うこともなしに。 「羨(とも)しさ」の訳はここでは「妬ましさ」…
大空におほふばかりの袖もがな春咲く花を風にまかせじ 詠み人知らず(後撰集 巻2(春中) 64) 大空全体を覆うほどの袖が欲しいなぁ。そうすれば春咲く花を風の好きなようにさせないのに。 まるで子供が詠んだ歌かと思ってしまうほど、大胆で自由な歌。大空…
季節はずれではあるが。 吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風をあらしといふらむ 文屋康秀(古今集 巻5(秋下) 249) 吹くや否や秋の草木が萎れてしまう、なるほどそれで山風を「あらし」というのだろう。 百人一首の中で最初に覚えた歌だったと思う。…
万葉集から。 白玉は 人に知らえず 知らずともよし知らずとも 我し知れらば 知らずともよし 元興寺の僧(万葉集 巻6 1018) 真珠は人に知られない、しかし人が知らなくてもよい。 人が知らなくても、自分がその自分の値打ちをわかっているのならば、知らなく…