Books

『定義集』アラン

この定義集を最初に読んだのは、11歳の時。それから10年たった今、やっとこの定義集の意味が理解できた気がするのです。 【愛】…人はこの歓喜に、不安を感じることがある。いつもちょっと感じている。なぜなら、この歓喜は他者に依存しているから。

『一九八四年』オーウェル

The New York TimesやThe Washington Postのコラムを読んでゐると,しばしば「オーウェル的な」(Orwelian)とか,「偉大なる兄弟」(Big Brother)とかいふ表現にお目にかかることがある。オーウェルの名(や,この小説)は,日本ではさほど知られてゐないやう…

最近読んだ本

●『イソップ寓話集』 中務哲郎訳/岩波文庫/1999.3 注が巻末ではなく,各章ごとについていて便利。 中身は何の変哲もないイソップ物語。●『新釈 走れメロス他四篇』 森見登美彦/祥伝社文庫/2009.10 「走れメロス」「山月記」等のいわゆる名作を基にする,パロ…

『ユートピア老人病棟』江川晴

79歳の元眼科医、湯浅マキに軽度の認知障害が見られるようになり、病院(―というより、むしろホスピス?…はっきりとはしませんが老人ホームに近いイメージを持ちました―)に入れられることとなる。患者の一人であるマキの視線で、病院の中で様々な老人の姿…

『赤頭巾ちゃん気をつけて』庄司薫

図書館である本を探していたところ、偶々この背表紙に眼に止まり、そう言えば以前に奨められたことがあるなぁ・・・と思い、借りて読んだわけだが、何が面白いと言ってもやはりその巧みで、なおかつ軽妙な文体であり、知らぬ間にするすると(そう、実にするする…

『故郷』魯迅

(印象に残った場面とその理由) 『故郷』において、魯迅は、身分制度に対する悲しみと、将来の子供たちに対する希望をやや屈折しながらも描いたように思う。さて、今回改めて『故郷』を読んで気になったことは、ルントウが食器を灰の中に隠していたというこ…

『薬』魯迅

(印象に残った場面とその理由)『狂人日記』全体から、或いは『狂人日記』の人間の顔についての描写:「ある者はいつものように青い顔をして歯をむき出し、にやにやと笑っている。」(p22)等から、(人は本当は獰猛で、凶悪で、また狂暴な動物である)…

『孔乙己』魯迅

(印象に残った場面とその理由)『孔乙己』が、茴香豆の茴の字の書き方を訊く場面―まず「読んだことがある…それじゃわたしが試験をしてやろう。茴香豆の茴の字は、どう書くかね」と訊き、『わたし』が質問に面倒そうにも答えるとさらに熱心に「そうだそうだ…