さし焼かむ

さし焼かむ 小屋の醜屋に かき棄てむ 破れ薦を敷きて うち折らむ 醜の醜手を さし交へて 寝らむ君ゆゑ あかねさす 昼はしみらに ぬばたまの 夜はすがらに この床の ひしと鳴るまで 嘆きつるかも

 

          詠み人知らず(万葉集 巻13 3270)

 

燃やしてやりたい小さなぼろ屋に、

捨ててやりたい破れ薦を敷いて、

へし折ってやりたい汚い手枕を交わして、

共に寝るあなたを思い、

あかねさす昼は昼じゅう、ぬばたまの夜は夜じゅう、

この床がひしひしと鳴るまで嘆いている。